お猿の戯言 homosapiensaru's babble


2009年9月22日[火] 六本木へ 21_21 DESIGN SIGHT と 国立新美術館へ

21_21 DESIGN SIGHTへ

東京ミッドタウンの中にある、21_21 DESIGN SIGHTへ行く。
原研哉氏が展覧会ディレクターを務める展覧会を観る。

ちょうどエントランスの端っこでノートパソコンをたたいている原さんにお会いした。
あいさつを交わし会場へ向おうとすると、「案内しましょうか?」と原さん。
「え〜っ!していただけるのぉ〜(笑)!」と、冗談っぽく返し、今度こそ会場へ足を向けようとすると、原さん立ち上がって、あらら、まさかほんとについて来ちゃった!

すべての展示物についてひとつひとつていねいに解説をしていただいた。
この展覧会は、ハイテクノロジーで進化した日本の人工繊維が新たなSENSEWAREとして拓いていく領域をビジュアライズする試みだそうだ。
展示品は触っちゃいけないのに触らせていただいたり、裏話も聞かせていただいたりでもう充実の極み!

途中、原さんがこのイベントのために制作されたB倍版のポスターが3点展示されているコーナーがあって、そこを通りかかるとその一点に細い傷がつけられていることにすかさず気づかれ、ぼくが、「マーカーかなんかで修正しちゃえば」と言おうとする間もなく、ポケットから細いマーカーを取り出してその傷を塗りつぶし始めた。こういうとこ好きだなぁと眼を細めました。

入場料無料でしたが、3万円の価値がありました!…根拠不明。
原さん、改めて感謝です!ありがとうございました。

9月27日[日]までです!


→ http://www.2121designsight.jp/



ⓒrika noguchi<br>太陽#23<br> 2008年<br>
ⓒrika noguchi
太陽#23
2008年
ⓒyoko matsumoto<br>光は荒野のなかに拡散しているⅡ<br>1993年
ⓒyoko matsumoto
光は荒野のなかに拡散しているⅡ
1993年

国立新美術館へ

松本陽子と野口里佳の二人展「光」を観る。


野口里佳がこんなにしっかりした作家だとは思いもよらなかった。
自分の中に偏見が住み着いていることに嫌気がさす。
思い込みは老化の一種でもあるという。いやだいやだ。リセットしなくては。
良質な写真というのは何かを超えたイメージの中に没入させてくれる。
魂は、重力に縛られないふわーっとした高次元で遊ぶことができる。


松本陽子のピンクのあの一連の絵はどうも鼻持ちならず、自分の生理に馴染まない。なぜあれが光なのかもオリジナルを眼の前にしてもピンと来なかった。
が、ドローイングが冴えていた。最近作も比較的馴染むことができた。それでも、今年制作されたピンクの水彩画はやはりどうも馴染めない。
しかし、制作すること、描き続けることへの意思を肌身で感じその意欲をいただいた。
加えて、絵具の凄さをまたしても実感する。
絵画の場合、重力から解き放たれるのではなく、それをどう心地よく感じさせることができるかどうかが重要だ。


こちらは、10月19日[月]まで開催している。


→ http://www.nact.jp/exhibition_special/2009/03/hikari.html




2009年9月15日[火] 銀座へ

ⓒkoichi sato
ⓒkoichi sato
ⓒtoshiyuki iwahori
ⓒtoshiyuki iwahori


恩師、佐藤晃一先生の展覧会を見逃すまいと銀座・松屋へ急ぐ!
最終日は、早く終わること忘れていた。

「俳グラや 佐藤晃一 掛軸展」
俳句とグラフィックがコンバインされた掛け軸が20点ほど架かっている。

個人的には、「耳もとに 電球を振る 四月馬鹿」と「山ほどの 水平線の 地球かな」の二句が好みでした。
「雪シンシン シンシンシンシン シンシンシン」と「蝙蝠の 貌に縮みし 太古かな」も好きでしたね。

心地いい洒脱な和が佐藤先生ならではの境地で並んでおりました。緊張感と風が通り抜けるような脱力感が共存していて気持ちがよかったです。



松屋を後にして、シロタ画廊へ向う。
岩掘敏行展「ディサフィナード | 音痴」を観る。
怖いくらいのシンプルさで、とても勇気がいるだろうなぁと心配に近い気持ちで観させていただいた。あそこで止められることの凄さ。

 → http://www.gaden.jp/shirota/2009/0914b/0914b.htm



その後、お多幸でおでんと日本酒をひっかけて、さぁ帰ろうとしたら思い出した!
真っ赤な顔をして、ギンザ・グラフィック・ギャラリーに向う。
「銀座界隈隈ガヤガヤ青春ショー」という、灘本唯人・宇野亜喜良・和田誠・横尾忠則 氏の4人展だ。イラストレーターの重鎮たちである。
もう、観るというよりは、拝むという感じ。二礼二拍手一礼。



ギャラリーを出て、向いのバーニーズ・ニューヨークを赤い顔のまま、ちょいと冷やかして帰路へ着く。
自分の個展のひたひたと近づく足音が日ごとに大きくなっている。11月である。む〜…。



2009年9月8日[火] 京都の扇の老舗「山ニ」へ


難儀をしている仕事に干支の飾り扇があって、締め切りが来てもなかなか仕上がらない。
いよいよにっちもさっちもいかなくなって、でき上がりを京都まで納品することになってしまった。

この扇は某会社が暮れにお得意様用に配るもので、もう十五年続いている仕事だ。
十二年が一巡した三年前の亥年で終了と思っていたらまた次の十二年の干支を描くことになった。年に一度の仕事だが、十二年続くことを考えると感慨深い。新しくなって三度目の来年は、寅年だ。寅だから大変というよりは、自分の仕事ぶりに問題があるのは重々承知しているのだがどうにもうまくいかない。
やっと仕上がったものの、宅配便に載せるのに間に合わず、結局自らが運び人となってしまった。

久し振りに、社長とマネージャーの吉田さんにお会いする。
社長は相変わらずお忙しそうで来客があり早々に部屋を出て行かれたが、吉田さんとはその後も大いに盛り上がり、夜一献を傾けようということに相成り、日帰りのつもりがその日は泊まることにしてしまった。



夜を迎えるまで、時間ができたので始まったばかりの若冲の展覧会を観に行くことにし、琵琶湖にほど近いMIHO MUSEUMに向った。
最近見つかった象と鯨を描いた六曲一双の屏風の展示を目玉とした展覧会だ。
かわいい絵だ。特に象がかわいい。
一時期興味を持ったものの、若冲独特の固さに辟易し最近では離れていたが、観れば学ぶべきことは多い。

京都駅から13分の石山という駅からバスで1時間くらいのところにある。決して遠くはないのだが、やはりバスに1時間揺られて美術館に到着するというのはちょいと覚悟がいる。
適当に疲れもするが、この屏風の象の眼を観れば癒されるというものだ。



夜になって、町家の奥まった呑み屋で酒を酌み交わした。吉田さんが竹藝の老舗の若旦那をその席にお連れくださり、伝統工芸の話から、新しいプロダクトを考えよう、試みようと大いに盛り上がった。

やはり、人とは直接会って直に話すということが大事であると痛感した。会わなければ始まりません。無沙汰をしている人にぼちぼちと会いに行きますかね。


象と鯨図屏風/MIHO MUSEUM