お猿の戯言 homosapiensaru's babble
2012年9月30日[日] 北海道教育大学岩見沢校にて
27日[木]〜30日[日]に渡って、北海道教育大学で集中講義。
大学の先輩に呼ばれてやってきた。
午前・午後と40名弱の学生にイラストレーションを指南する。
礼儀正しい、すこぶる真面目な学生たちを相手に55年の人生を小出しに打ちまける。
横倒しされた徳利からこぼれだすとろみのある怪しい旨味が若い脳髄を蝕む。
やや歪んでいるかもしれない人生論を、先頭に座る男子学生が
ノートに疑いも無くメモをしているのが眼に映る。
それを間近に眼にすれば背筋が伸びて、襟を正さざるを得ないということになるが、
おっとどっこい、そうは問屋が卸さない。
ヤクザな55歳は動揺などしない。
信じちゃいけないよ。いや、信じていいんだよ。
本当のことは眼に見えないものなんだよ。
眼に見えるものはただの嘘っぱちさぁ。
君の眼の前にいるこの親父は、落ち武者の如きただのボロ雑巾ってとこかもしれないね。
いや、ひょっとしてクリエイティブの世界のきらきらした妖精かもしれないぜ。
眼の前に横たわるものが正しいかどうかなんて、自分次第だってこと。
それがわかるだけでも儲けもん。
授業が終われば、まだ早いうちから先輩に連れられ呑み歩く。
やっぱり北海道だよ!魚が美味い!肴が美味い!
毎晩、先生が入れ替わり、深い話をし、酒を呑む。
学生時代を懐かしむ。先輩は酒が入ると一回り大きくなるから面白い。
いい学生時代だったよなぁ。
こんなことを言ったら抹殺されるかもしれないが、大学で最も印象深かった授業は、
専門の授業なんかじゃなくて、保健体育と体育だった。
三木先生と野口先生。この二人の思想にやられた。
大学ってすっごいとこだなぁと素直に思った。
それまでの価値観がひっくり返され、真の宇宙観に洗脳され、精神が自由になった。
その後見るもの聞くもの触れるもののすべてが新鮮になった。
![](/static/images/page/3/l/392_3114_1_iwamizawa2.jpg)
先輩は、少しでも時間を見つけては北海道らしい風景を見せようと
アテンダントに変身して車を走らせてくれる。
素敵な雲が広々とした景色の中に広がって、
ラジオから流れてくるパリーグの野球中継をくすませる。
あっ!もしやっ!と感じたその後、やっぱり、
遠くの山の谷間の辺りが緩やかにオレンジ色に変化していく。
そのうちにみるみると空は燃え上がり、それを見た先輩は「これなら九州人も許す夕焼けだ」と
訳の分からない感動をしているのがうれしかった。
メキシコのカンクン以来の夕焼けに遭遇した。
お会いした先生方の熱さに触れ、それに呼応して自分の奥底に仕舞われていた言葉が溢れ出した。
なんだか自分も久しぶりに「人」になったような気がした。
先輩、呼んでいただいてありがとう!感謝です。
また呼んでいただいてもいいですかねぇ?
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2012年9月15日[土] 初めて、文庫の解説をとやらを手がけました…
![](/static/images/page/3/s/392_3088_1_sakurakozo.jpg)
ヒキタクニオ著 文庫「桜小僧」(PHP文芸文庫/¥724)が発売!
連絡があって、次の小説の装幀かと思いきや、解説を!ということでびっくり!!
小学生の頃の作文のことを考えたらとても受けてはいけない仕事でしたが、「桜小僧」の解説、書いてしまいました。
2012年9月12日[水] 蟲発見!
深夜0:00近い帰り道。
気配を感じブロック塀を見上げると蟷螂がいた。
思わず撮影する。
二度目のシャッターを切るとようやく身の危険を感じたのか
慌てて上方へ移動した。
![](/static/images/page/3/l/392_3078_1_kamakiri.jpg)
2012年9月2日[日] 信条
黴が生えるように
錆がつくように
剥落した壁のごとく
時代のついた陶片の肌理のごとく
技巧に走らず
あざとくなく
素朴でありながら
品がよく
恐れるのは優等生的であること
決して姑息にならぬこと
![](/static/images/page/3/l/392_3066_1_white_wall2.jpg)
2012年9月1日[土] 道すがら
![](/static/images/page/3/s/392_3068_1_tokusa4.jpg)
新棟へ引っ越しをしてから一年近くかかって、効率の良い研究室への道順が決まり、ようやく日常的に往来できるようになった。
余裕ができたのか、最近では道端のものを眼で愛でながら歩く。
ある建物の一隅におよそ雰囲気の合わない植物を発見したのは数ヶ月前だったか?
写真の木賊(とくさ)だ。
木賊は常緑性シダ植物で、山中の湿地に自生し、観賞用に庭園などに植えるとある。
小さい頃にこの植物に初めて遭遇したときから好きになった。
手で触れるとシャラシャラと乾いたいい音がする。その脇を通るとき、いつも小学生のように手を出してはシャラシャラとさせその音を楽しんでいる。
この木賊が最近発芽をしていて、写真のような新芽がニョキニョキとひっきりなしに顔を出している様がかわいい。ツクシにそっくりじゃないか!と思ったのも当然、スギナなこそが、トクサ目の夏緑性シダ植物だったのだ。
都心でこんなものに遭遇できるんだよなぁ。
それにしてもこの若芽の姿形のかわいいことかわいいこと!
ほんとに、原始的で素朴だ。魂に来る来る。