お猿の戯言 homosapiensaru's babble
2009年10月31日[土] ポルトガルからスペインへ
いよいよポルトガルを離れる日が来た。後半はあっという間だった。
9:00にはホテルを出発し、空港へ向う。10:45には離陸し、二時間後にはマドリードにいた。ポルトガルとは1時間の時差がある。マドリード時間の14:30にはホテルにチェックインした。
マドリードには、このプロジェクトの団長である古川タクさんと展示のアシストを務めてくれる教え子の上田風子と私の三人で展示に関わる設営等の視察のために来た。
少し休憩をし、ピカソのゲルニカを観にMUSEO NACIONAL CENTRO DE ARTE REINA SOFIAへ向う。
この建物は、元は18世紀に建てられた病院だったものを、1992年に2つのパノラマガラスのファサードが加えられ、博物館として変貌した。その後2005年には超現代的なファサードをフランス人建築家ジャンヌーヴェルが設計し現在に至っている。
ここには、ピカソを始め、ミロ、ダリなど近代の有名どころの作品が多くコレクションされている。
常設の他にも、特別展などが開催されており、近代と現代が入り交じり面白い内容の美術館だ。
まぁ、でもね、うすうす分かっていたけど、近代美術はもういいかな。もはや、ダリなんか全然興味のない自分がいて却って申し訳なかったなぁ。
確かに、ゲルニカにはそれを描く動機も合わせて力強いものがあって、そこに至るまでの習作の素描等も興味深く観た。手の素描に面白いものが2点あった。ピカソ独特の造形性は強引なところもあるがその強引さも含めて、視る者へ創造することの意味と言ったものを突きつけてくる。
この美術館は建築もひとつの作品であり、このスペースに接しているだけでわくわくドキドキしてくる。その特徴的なファサードをさらに先鋭的にかつ柔軟に観せているのが外に設置されたロイ・リキテンシュタインの大きなブラッシュストロークの彫刻(オブジェ)だ。新宿にある、東京医科大学病院にも彼のスカルプチャーがあるが、こちらのものの方がサイコ〜!
夕飯の前にひとまずホテルに戻る。
夕焼けが綺麗だ。刻一刻と変わっていく空をカメラに収めながらホテルへ向って歩いた。
今晩の夕食は、タクさんが予約をしてくださり、スペイン料理を堪能することに。
スペインの一日目が終わった。
国力の違いなのか、何がそうさせているのかは、歴史や政治に今ひとつ疎い私には一概にジャッジできないが、今日一日歩いただけでポルトガルよりもスペインの方が興奮度が高いことを感じてしまった。洗練度やセンスの良さといったものがどうしてこう変わってくるのか。興味深いところだ。
2009年10月30日[金] リスボンを再び視察
ポルトガルの最終日が来た。明日はリスボンを離れ、マドリッドへ向う。
今日は、またリスボン市内を視察した。
まず最初にベレン文化センター。ジェロニモス修道院のすぐ近くだ。
その後、国立古美術館へ行ったり、美術クラブが持っている施設を訪ねたり、専門学校や大学を回ったり、イレギュラーでコミュニケーション博物館を見学したりした。
どこも帯に短し、たすきに長しといった案配で雲行きは怪しいが、何かしらは方向性は見えてきた。
興味深かったのは、専門学校と大学の違いがよく見て取れたことだ。
やはり学究ということへ向うオーラの質のようなものが建物からも人からも窺うことができた。
これは、大学だからとか専門学校だからどうのこうの言う前に基本的に備えていなければならない姿勢のようなものだ。姿勢を正してそれぞれの施設を後にした。
一日、回って夜は、日本大使館の方たちと食事だ。
バイシャ地区にほど近いレストランで鳥の丸焼きを食す。
公使はオタク文化に興味があるとのことでアニメーションの話などで盛り上がった。
毎日毎日、肉料理ばかりで自分の中の日本人がちょいと悲鳴を上げているのがわかる。
食は、文化の違いに大いに影響を与えるものと思う。
こんなに肉を食べること酒を呑むことは普段の暮らしぶりの中ではないので、身体はお祭り騒ぎのようになっている。腹の肉がぷるんぷるんしている。
2009年10月29日[木] ポルトから再びリスボンへ
展示会場の視察のため、朝から美術館やギャラリーを見て回った。
初めポルトの街は古くてやや薄汚れた印象があって、寂れた感じがしたのだが、車で
回ってみると大変過ごしやすそうな人間味あふれる場所であることがわかった。
素敵な空間を持ったギャラリー街などもあっていい手応えを感じた。
ポルトの街をもう少し歩いてみたかった。
一泊だけの滞在なので自由が利かず残念…。
一通り予定していた場所を回ったあと、車はリスボンへ向かった。
リスボンへ向う途中、ナザレという街に寄り昼食を食べた。
海が見える素敵なレストランだ。今日はシーフードだ。
またまた、鮟鱇(あんこう)のリゾットやボイルした蟹や海老、グリルした鱸(すずき)などを食した。海老カレーというのに惹かれ注文をしたら、これがなんともソフィストケートされた味と見た目でグーであった。これまでのポルトガル料理にはなかった逸品だ。
ナザレの海はよかった。自分ひとりだったら、水は冷たそうだけれど泳いだろうなぁ。海に向かって右側の岩場で、きっとひとりで夢中になって過ごしていただろう。
帰りの車中、白ワインを飲み過ぎて、気分がすぐれず困った。
リスボンに着いてもなかなか酔いが醒めず、夜のアニメーションのイベントをパスさせていただいた。ごめんなさい!
それでもお腹がすくって、人間哀しいよなぁ。
ついにポルトガルに負けて、スパゲティが食べたくてイタリアンのお店に向かう。
ボンゴレが売り切れたそうで、シフードスパゲティで手を打つ。ちょいとしょっぱかったけど、今、こういうものを身体が求めているんだよなぁということがパスタが口に入った瞬間よ〜く分かった。パスタの前に食したきのこスープがまた美味かった!
満足をしてホテルに戻った。
2009年10月28日[水] コインブラからポルトへ
コインブラからポルトへ車で移動。
途中、お昼を子豚の丸焼きのお店「メアリャーダ」で過ごす。
郊外にも関わらず混んでいる。
子豚がそのまま食卓に載るのかと期待したが、食べやすく切った状態のものが運ばれてきた。ちょっと残念だったが、皮がパリパリで美味しかった。
どれもこれも料理の脇役として小ぶりのジャガイモがついてくる。これがまた美味いんだなぁ。ここでは、ジャガイモをスライスしたものを揚げたポテトチップスが出た。黄色がかっていたのはオリーブオイルで揚げたからか?これもまたさくさくと美味しい。
ポルトへ着くと、ポルト大学芸術学部へ向かい、学部長とミーティングをする。
来年のイベントを楽しみにしている様子だ。
上映や展示の他にもワークショップ等の交流も考えていただけないかと要請された。
その後、ポルト大学でのアニメーションの上映&講演も会場いっぱいに人が集まり大盛況だった。美大生特有のシャイさからか、質問はなかったが、イベント終了後に五人の卒業生の周りは大変な人だかりとなった。
無事に終わって、ロウド川のほとりにあるレストランで食事。
対岸にはワインの蔵が立ち並びライトアップされて夜景がとても綺麗だった。
展示チームは、食後、候補地を視察しに移動した。もう23:00を回っているのにまだオープンしているというので観に行くことに。
なかなか感じのいいスペースだった。
そこは、物書きの協会の建物で1階には本がたくさん売られていて、その中に気になる本があった。アンディ・ウォーホールのヌードという作品集だ。彼の手がけたヌードの作品が納められていた。
ゲイだった彼の視点を改めて再認識させられる内容で、この手の作品は初めて見るものだった。絵かきとして非常に考えさせられるものがあった。
ホテルに戻り、メールで入ってきている学生たちの作品をチェックし就寝。
2009年10月27日[火] コインブラ
10月25日[日]
夕刻、コインブラに到着。
リスボンからコインブラへ移動する車窓の向こうはのんびりとした風景が広がる。ヨーロッパの匂いが随所に散りばめられていた。
10月26日[月]
コインブラは、リスボンよりも落ち着いた素敵な街だ。
今日は、教え子の上田風子とコインブラ大学の構内に二人の作品34点を展示した。
コインブラ大学は、719年前に設立されたヨーロッパでも長〜い歴史を持つ大学の一つだ。
11:00に入り、日本語を教えている新里先生の指示を受け、設営を始めた。
展示場所は、Wikipediaで「コインブラ大学」と検索するとトップページに出て来る二つの写真の内の上から二番目の写真、コインブラ大学文学部棟の地下1階のスペースだ。
ギャラリーとしての機能の全くないスペースだったので、想像以上に時間がかかり、終了したのが19:30だった。来年は、なんとしてでもスペースの問題をクリアせねばならない。展示は、11月5日[木]まで開催される。
今回のメインのイベントは、アニメーション学科の卒業生5人によるアニメーションの上映だ。こちらは、今日18:00から作品についての各々のプレゼンテーションがあった。
展示作品の設営終了後、会場へ駆けつけた。30分しか観ることが出来なかったが、みんなついこの間よりも数段場慣れした様子で新鮮でなおかつ気持ちのいいトークショーになった。素敵な仲間が集まったなぁと感心した。
夜、アニメーション作家の古川タクさんがコインブラに到着し、21:00過ぎに合流し、メンバーで食事をしてホテルに帰った。
今夜のポルトガル料理は、通訳の方が同席され、その方の配慮により山羊の肉や牛肉だの、鮟鱇のリゾットや蛸のリゾットと、普段口にしないおいしいものを味わうことができた。鮟鱇のリゾットやばいね。
10月27日[火]
今日は、我々展示チームの作品のプレゼンテーションが15:00からあった。
コインブラ大学の文学部長他、日本大使館から公使以下三名の要人にもご参列いただき、緊張感の中、セレモニーが始まったが、多少の笑いも取りながら無事に終了することができた。会場は、まずまずの集客で、風子も質疑応答に忙しそうだった。
これで一番の大役を終えることができた。ふ〜っ…。
18:00からは、古川タクさんの上映とお話があった。
「世界最高齢者アニメーション作家グループ『G9+1』」についての講演で、40~70代の10名のアニメーション作家が集団となり、アニメーションの制作を行っているという。
観ていて、自分の中のクリエイティブ魂がむずむずし始めるのを感じていた。
商業用アニメーションにはあまり興味ないが、タクさんのような個人制作のアニメーションに、とても惹かれるものがある。
これからは、ぼくも映像表現の世界にどんどん進出していこう!…と鼻息を荒くしている。
ヨーロッパはやはり教会が素敵!
それとキティちゃんがやたら人気があるんだけど、どうして?…てこともないけど、すごいね。beyond kawaii かぁ〜。
2009年10月25日[日] in ポルトガル
もう、一ヶ月以上diaryに手をつけずにいた。
個展前だということ、あわせてポルトガル出張ということが重なって、自分や大学の仕事を片づけるのにてんやわんやでおろそかにしてしまったこと大反省。
一昨日23日[金]に、リスボンに到着した。
その日は移動で終わってしまった。
飛行機の中では食事以外の時間はほとんど眠っていた。疲労は極限状態で寝るのも辛かったが、後半、足下に足を乗せる器具を発見し、使うとらくちんに。単純なことが大いに体に効いてびっくりした。
昨日は、昼間リスボンの主なところを見学し、夜には大使館の人とともにポルトガルの民族音楽(?)ファドを食事をしながら楽しんだ。
ポルトガル料理は、おいしい。自分にはよく馴染む味だ。密かに自分は過去世のどこかで地中海沿岸に住んでいたことがあると信じている(笑)。
このポルトガル出張は、大学の関連の仕事だ。
来年は、日本とポルトガルとの修好150年ということで、コインブラ大学との交流行事を行う。"beyond kawaii"というテーマでアニメーションの上映と写真、イラストレーションおよび絵画等の展示を行う。そのプレイベントと来年に向けての視察を兼ねてやってきた。
今日これからコインブラへ向けてリスボンをあとにする。
個展用に描く道具を持参した。
ポルトガルで少し作品を作ろうと意気込んでいるものの、今まだ、気を整えているところだ(笑)。