お猿の戯言 homosapiensaru's babble


2010年8月26日[木] 普賢菩薩



UPした図版(左・中)は京都の細見美術館のミュージアムショップで購入した普賢菩薩のポストカードを撮影したものだ。

学生のときに普賢菩薩象の図版(右)に接したとき、辛気くさいと感じていたものが初めて意識の上に上らせて対峙してみたら素直に心底愛着を感じて驚いた。その頃から日本美術の、引いては東洋美術の面白さに傾倒していった。

この古色蒼然とした雰囲気と品の良いお顔立ちと、なんてったって象だ!象!

普賢菩薩は、法華経を唱えて修行する者があれば、六本の牙をもった白象に乗って現れ、守護すると説かれている。仏が象に乗って現れるんですよ!面白いですよねぇ〜!

この絵師の象の描き方、表現=様式化というものに私の美を求める心は震撼としたものだ。仏さまだからその凝った装飾にも惹かれた。それとそのテクニック。とても細かいのに嫌味にならない洗練のさせ方などなど…仏画は凄い!観ればいろんなことを学べる。

10代の終わりの頃からこういう類いのものに興味を持ったが、50歳を過ぎてますます惹かれている。三井記念美術館で開催中の會津八一の絡んだ「奈良の古寺と仏像」展も興味津々だ。

人生の達人たちを前にしたら五十そこそこのまだまだ甘ちゃんの身であんまり生意気なことは言えないが、長く生きるというのもなかなかいいものだ。若いうちには感じることができなかったことが視えてきて、さらに深く知りたいと思うようになってくる。
最近では老いるということの中にネガティブではなく、ポジティブな要素を発見することが多い。


「普賢菩薩像」<br>絹本着色 平安後期<br>細見美術館蔵<br><br>
「普賢菩薩像」
絹本着色 平安後期
細見美術館蔵

「普賢菩薩像」<br>国宝 絹本着色<br>159.1×74.5cm 平安時代<br>東京国立博物館蔵
「普賢菩薩像」
国宝 絹本着色
159.1×74.5cm 平安時代
東京国立博物館蔵


2010年8月24日[火] 皮膚科

ブツブツのイメージにしてしまっては<br>可哀想だよね?この絵に対してね。
ブツブツのイメージにしてしまっては
可哀想だよね?この絵に対してね。



続いて皮膚科だ。
ここがいいと知人に勧められ夏休み中には…と、ようやく実現!…って、自分で時間作って行かなアカンよ〜!と自分に言ってみる。何でも自分次第なのだぞぉ〜。学生にはよくそう言ってるくせに自分のことになるとイカン、アカン!まぁ、でもとにかく今日やっと皮膚科に来れたのです。

両こめかみの辺りと首の後ろ(後頭部下)にできたぶつぶつを見て、「これっ!帯状疱疹だよっ!」と人に言われ、怖くなったという事実が行く気にさせた本当の理由だったりして…。
まぁ、いずれにせよ帯状疱疹ではないということは判明しました。よかったぁ〜!

帯状疱疹というのは、右か左のどちらかに弧を描くように出るらしいのですが、自分の場合は両こめかみに出ているので、まずそれからしてあり得ないということです。今、内服薬とローションで治療中!

こちらも一安心です。

さあて、この勢いで、やはり痛風も診てもらいますか。




2010年8月23日[月] 眼科



今、かかっている歯科医に教えていただいた眼科にようやく来ることができた。
11月に品川駅で倒れたときに殴打した右眼を診てもらうためだ。

ここは眼科だけの専門病院だ。お茶の水駅近くのビルの19階に受付がある。なんともシステマティックでよさそう!看護婦さんたちがテキパキと忙しそうに行き来している。ここなら安心そうだな。

まずは問診をし、次に視力検査だとか眼圧だとかを診てもらう。
そして第2ラウンジへ進み、いよいよ右眼の診察だ。

3月の人間ドックでは、やはり飛蚊症と診断された。それ以前にも大なり小なり眼の中で虫は飛んでいたが、あれ以後、蚊の量は増大した。

散瞳検査をされ(黄色い目薬をさされた)、眼球に直接レンズを密着させられた。
強い光りを瞳孔に当てられると、眼の前に不思議なビジュアルが展開される。

なんて綺麗なのだ!素敵な抽象画がこれでもかと展開される。
ジュリアン・シュナーベルの三作目の映画「潜水服は蝶の夢を見る」の映像を思い出す。

結果は、特に異常は見られないということだった。飛蚊症も老化とともに増えていくし、これは押さえることができないそうで、今後ず〜っとつき合っていくしかないそうだ。
まぁ、でもほっと一息だ。霞がひどくなっていき、だんだん見えなくなり、やがて失明…なんてことになるんじゃないかと半ば心配でもあったから…。


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2010年8月19日[木] 神宮の花火

ケータイだとやっぱりきびしいねぇ〜
ケータイだとやっぱりきびしいねぇ〜



ギャラリーハウスMAYAさんのご厚意で花火の宴にお呼ばれしました。
ほ〜んとに神宮球場に近いのでばっちり夏の風物詩を楽しまさせていただきました。

神宮の花火をこうして間近で味わうのは初めてのことで、玉屋ぁ〜、鍵屋ぁ〜と見惚れているうち、あれぇ、ちょっとこれまで体験している花火とはな〜んか違うなぁ?…と感じているうちにわかりました!

そうだそうだ!尺玉がまだ上がっとらんやないのぉ〜!

…とぽそっと周囲につぶやくと、それもそのはずだった。あの地域では規制がかかっていて高く打ち上げる大きな花火は上げられないんだそうだ。
話によれば六尺玉が破裂したときの直径は900メートルにもなるそうで、あの都会の真ん中でそいつを打ち上げるのはとても危険なことだ。
デカイのやスターマインといったものを期待する人は、どうぞ河原や海上や湖水といった水上系の花火大会に行くべし!神宮の面白さは、なんといっても青山というお洒落でハイセンスな街の真っ直中で楽しむことができるということなのだ。

毎年どこかの花火を観ることは観るけれど、ほとんどの場合天地左右のどこかしらが建物に遮られていて満足の行く鑑賞にならない。が、しかし、今晩は大満足であ〜る!

たくさんのお料理とお酒と美しい花火と人の輪(和)とで、とっても素敵な宴でした。
マヤさんありがとうございました!個展がんばりま〜す!!




2010年8月18日[水] 発見!



久し振りに発見!

近所の環七で信号待ちをしているとき、ふっと左側が気になり眼を凝らすと、いたいた!はっけ〜ん!である。

慌ててカメラを取り出したら信号が変わってしまい、ちゃんと撮れなかった…。



2010年8月17日[火] つかこうへい



ひょんなことから、つかこうへいの芝居「広島に原爆を落とす日」のチケットをゲット!
開演二時間前のことだったので、無理矢理仕事を片づけてBunkamuraのシアターコクーンへ。もう少し早くわかっていたら、THE MUSEUMのブリューゲル展も観れたのに残念!
まぁでもいい、贅沢は言うまい…。

学生の頃、つかこうへいブームでいくつか舞台を観たなぁ。
芝居を観るのも久し振りで、映画とは違う生のこの立体感は迫力!
始まれば、もう最初から飛ばすこの台詞回しの勢いの良さ!いいねぇ!

原爆ということからここまでのお話しを創作し、なおかつ舞台化してしまうつかこうへいの表現の力と技を見せつけられ圧倒された。
「愛」ということが芯となったつかこうへいの世界に久し振りに触れながら、前に押し出る強さということを考えさせられていた。

大事な人が逝ってしまった。
享年62歳という、まだまだこれからという年齢だ。残念だ。
心よりご冥福をお祈り申し上げます。


なんとも慌ただしかったが、今日もまたよかった!




2010年8月16日[月] 上野へ



お盆休みも終わる。
休みらしい休みもせず、このお盆を過ごしている。
家にじっといて仕事ってのもいいもんだ。
でもどこか出かけたくなって上野へ向うことにした。

東京国立博物館の平成館で開催中の特別展「誕生!中国文明」だ。

普通ならあまり触手の伸びない展覧会だが、今、中国をモチーフとする仕事をレギュラーとして抱えていて、毎回いくつかのラフを出さなくてはならず、ネタ集めのためにも観ておこうかと考えていた展覧会に出かけることにした。

中国のあの青銅器の装飾性がどうも好きになれない。
根津美術館にも中国の青銅器を展示した部屋があるがここはいつも立ち入らないことにしているくらいだ。


しかし、結果としては結構はまってしまった!


割と最近になって出土したものが出品されているらしいが、形や装飾文様などに今回はなんだか惹かれ、スケッチ(というよりはメモだな)してても楽しかったなぁ。

特に「羽人(うじん)」という存在には個人的に愛着を持った。厳つい顔をした天使か?あいつは?この羽人を見たとき、昔仕事で作ったキャラクターを思い出した。コージー本舗(Osamu Goodsで有名!)から「FullSesh」という爪回りの化粧雑貨のシリーズのビジュアル展開を任されていたが、そのブランドイメージのために創作した猿のキャラクターの雰囲気に似ていた。そうそう名前を「チコ」と担当者がつけてたっけな。

もうひとつは、青銅器に彫られている文字だ。甲骨文字のような味わいのある描線にまさに恍惚となった。

玉(ぎょく)に関してもすんなり関心を持つことができた。これは、ミュージアムショップに陳列されていた玉を扱った宝飾品にいいものがあってそれに触れたからかもしれない。

まぁ、とにかく意外にも楽しめた。中国もなかなかおおらかである。

 → 東京国立博物館



結局閉館ぎりぎりまで観て、館を出てから、ピ〜ンと来た!

「そうだ!蓮だ!蓮!」

この時期不忍池の蓮を観なきゃねぇ〜!


不忍池の脇の道路に車を停め、池の方に近づくと、凄い凄い!蓮のオーラが噴出している!
夕方だけれど、花がまだそこかしこに残っている。しばし堪能。癒される〜。


旬のものを食したり、観たり、聴いたりすることがやっぱり肥やしになるなぁ。
単純に感動すること、ワァ〜ッて思う感覚が大切だなぁとしみじみ思う。



またもや、いいものを観させていただきました!ありがとうございます。





2010年8月15日[日] 終戦記念日



この日からもうひとつの戦争が始まり苦渋を味わった父を忍び黙祷。
昨年の同日、シベリアに抑留された父のことを書いた。

戦争の記憶がだんだん薄れていく。
戦争を体験した人々がこの世から離れていく。

自由ということ
正面から考える大事な日だといつも思う。





2010年8月12日[木] 朝焼け



研究室で仕事をしていたら、外が明るくなり始めていた。
そろそろ帰ろうと建物から出ると何やら上空が怪しい。
見上げると東の空が美しい色に彩られ、光は虹色に乱舞していた。

自然は時折、日常を超えたビジュアルを露呈してくる。
日常に甘んじようとする頃、こうして観念にひびを入れられる。

わたしは喜々としてありがたくこれを受け入れる。
真実を視させていただくこと。感謝至極だ。






2010年8月8日[日] 芸術家のお言葉

何必館の最上階にある坪庭<br>ここの奥の部屋の床の間に<br>よく良寛の書が掛けてある
何必館の最上階にある坪庭
ここの奥の部屋の床の間に
よく良寛の書が掛けてある
良寛の「夢」という字<br>サイコ〜やろ?
良寛の「夢」という字
サイコ〜やろ?



京都の祇園にある「何必館 京都現代美術館」の地下一階に北大路魯山人をコレクションした部屋がある。そこに魯山人の残した言葉が展示されている。
以前、心に沁みて書き写してきたものをここに記す。



  この世の中を少しずつでも
  美しくして行きたい
  私の仕事はそのささやかな表れである

  人間なんで
  修行するのも同じことだろうが
  自分の好きな道で修行できるくらい
  ありがたいことはない

  人はいつ死んでもよいのである
  人はこの世に生まれて来て
  どれだけの仕事をしなければならぬと
  きまったわけのものではない

  分かる奴には一言いってもわかる
  分からぬ奴にはどう言ったってわからぬ

  芸術は計画とか作為を持たないもの
  刻々に生まれ出てくるものである
  言葉を換えて言うなら
  当意即妙の連続である


ⓒkokuta suda「天」1990年<br>61.0×72.5cm<br>小海町高原美術館所蔵<br><br>これはちょっとあざといなぁと感じるが<br>もっともっとナチュラルで強靭な書が<br>たくさんあるのです
ⓒkokuta suda「天」1990年
61.0×72.5cm
小海町高原美術館所蔵

これはちょっとあざといなぁと感じるが
もっともっとナチュラルで強靭な書が
たくさんあるのです

何必館の並びに骨董屋がある。
そこは須田刻太という画家の作品を扱っている。
この画家が好きだ。

店には、絵が三点、書が一点掛かっていた。
どれも面白かった。絵もいいが、須田氏の字がまたなんともいい。

中川一政や熊谷守一のような文字も書く絵描きがいるがそんな類いが気になる。
文人画の流れとして括るのともまた違う「絵描きの字」という研究も面白そうだ。




2010年8月7日[土] 卒業生による呑み会

みんなが花をプレゼントして<br>くれました!
みんなが花をプレゼントして
くれました!
これは大学院生の伊藤彩が前期中に制作した作品だ。「先生!実はこれ誕生日プレゼントです!」と言って渡されたのでホイホイいただいちゃったものだ。モチーフは自分だからかわいいでしょ?というのも変だが…かわいいでしょ?
これは大学院生の伊藤彩が前期中に制作した作品だ。「先生!実はこれ誕生日プレゼントです!」と言って渡されたのでホイホイいただいちゃったものだ。モチーフは自分だからかわいいでしょ?というのも変だが…かわいいでしょ?



3年前に卒業した学生たちが呑み会をするということで歌舞伎町へ行く。
いかがわしそうなホテル街を抜け、怪しいホストたちを尻目に目指すレストランへ向う。

13名だけのためにレストランを貸し切りにして、スクリーンに投影された昔懐かしいみんなの学生の頃の写真や映像を見ながらわいわいと料理と酒と会話を楽しんだ。
この代の男どもはこんなにも下ネタ好きだったか?というよりは中学生の会話だよな。まぁ、自分も中2病だから精神構造はタメか(笑)?
同級生というのはこういう緩んだ空気が作れるからいいんだな。

結婚したやつもいたり、ぷーたろーになったばかりのやつやフリーでがんばっているやつ、いいところに就職していても悩んでいるやつ、どうやって暮らしてんの?と心配になってしまうようなニートなやつがいたり、みんなそれぞれで面白かった。面白がるのは失礼かもしれないが、生きにくい社会をひととき忘れ、それぞれが悩みながらも同級生と会うと心を許した感じになり暖かい時間を過ごしているようでうれしかった。ぼくも和ませてもらった。

最後に、バースデープレゼントに花束をいただいた!みんなどうもありがとう!
また会おう!




2010年8月6日[金] 豆柿




久し振りに足を運んだ。
知る人ぞ知る中野坂上の呑み屋。坂上の穴場…といっても食べログにも出てるし雑誌なんかにも取り上げられているから自分がたまにしか行かないことでそんな風に勝手に思い込んでいるだけなのかもしれない。

店内はほとんどがカウンターだ。そのカウンターの中に店主の親父がいる。

肴は、その日親父の用意した十品の料理をいただくというお決まり。
これが旨いんだ!日本酒好きにはたまらないね。とにかく日本酒に合う料理だ。
酒は五〜六銘柄くらいあって、頼むと幾つものお猪口が入った籠を出される。そこから自分の気に入ったお猪口をチョイスするのだが、素敵なお猪口がひしめき合っているので選ぶのに悩んでしまう。

さらに、ここの楽しみはそれだけではないのだぞ!ここのお店の面白さは、カウンターの中にいる親父のさらにその向こうにで〜んっとあるものなのだ!

ふふふ…それは、ドールハウスだ!

…といっても「借り暮らしのアリエッティ」に出てくるようなものを想像してはならない。日本酒のお店ですから西洋のそれではなくて「和」なんですね。これが風情があっていいんです。ぜひこれを堪能しながら日本酒をちびりとやり、旨い料理に腹鼓を打つというこれを体験して欲しいものだ。この和のドールハウスは季節ごとにそのしつらえが変わるので、最低年四回は行かねばならないぞ!

一日13人分しか用意していないそうだから予約していった方がよさそうです。
ま、騙されたと思って行ってみてください。




2010年8月5日[木] プチ同窓会



終わった〜っ!
前期の成績の入力がなんとか間に合った!

さて、約束の時間に少し遅れてしまったけれど、久し振りに大学の同級生の顔を見に行こう。
イタリアから一時帰国した同級生を囲んでという理由でプチ同窓会が企画された。
片づけを終え、新宿へ向う。

おぉ!みんないるいる!20人ばかりいるだろうか?
やっぱり50歳も過ぎればそれなりに老けるなぁ〜。
…とファーストインプレッションを持ったものの、話をし出すとみんな昔とち〜っとも変わらない。
大学の同級生は気取らなくていいから、話していてもらくちんで楽しい。
明日の仕事の締切を気にして早々に切り上げようと考えていたが、結局終電までわいわいやっていた。





2010年8月3日[火] Birthday Party

イラストレーション研究室には<br>この倍近くの学生がいる
イラストレーション研究室には
この倍近くの学生がいる



3年生と4年生の前期最後の発表会が続く中日に宴会である。
研究室の学生たち4年生が中心となって私の誕生日を祝ってくれた!
OB・OGも駆けつけてくれて楽しいひとときを過ごした。
みんなありがとうよ!

みんながポストカードにメッセージや絵を描いてプレゼントしてくれた。
ケーキも出て、これがおいしかったなぁ〜。

この間50代に突入したばかりと思っていたらもう53歳である。
ぼくはあと40年は生きそうだけど、歳を取ると一年が早い早い!あっという間である。
心してかからないとやるべきことをせずにあの世へ逝ってしまいそうで怖い!

さあふんどしを引き締めて、やるぞォ〜!!