お猿の戯言 homosapiensaru's babble


2010年10月22日[金] いよいよポルトガルとお別れの時がやって来た!

ヌードの授業風景だ<br>立って指導されているのが<br>この授業を担当している先生だ<br>右下から左へ掛けての4人が<br>我がVCチームのみんなだ
ヌードの授業風景だ
立って指導されているのが
この授業を担当している先生だ
右下から左へ掛けての4人が
我がVCチームのみんなだ
こちらは、自分の顔を描く授業だ
こちらは、自分の顔を描く授業だ
二枚描いたうちの最初に描いたもの
二枚描いたうちの最初に描いたもの



今晩、ついに日本へ向け出発する。
帰りは学長と大久保先生と三人での帰国となる。が、席はばらばらだ。


今日は昼間、クリエイティブ大学を訪問した。
クリエイティブ大学長に施設を説明していただき、ゆっくりと見学させていただいた。

その後、学生たちと授業を体験してみることになった。
「顔を描く」授業とヌードデッサンの二つの授業を受講することになり、若尾学長も一緒に参加をさせていただいた。久し振りのヌードデッサンに不安と武者震いを感じたが、実際描き出してみるとなかなか楽しく筆を滑らせることができた(かな?)。

顔を描く授業もその方法が面白く、これは帰国したら早速試してみよう!
両方ともに短い時間ではあったが貴重な経験となった。学生たちもポルトガルの学生と混ざって真摯に手を動かしていた。自分の授業で制作をしたものをアップしておきます。笑ってやってください。

顔を描く授業を担当する先生からは、「君は私の優秀な学生だ!」とジョークを飛ばされ、ヌードデッサンを担当する女性の先生からは、「とてもクリアだ」とお褒め(お世辞)の言葉をありがたくも頂戴した。

その後、ランチに誘われたが学生たちがかなり疲れている様子だったので、失礼をすることにした。みなさんとてもジェントルで親切で素敵な人たちだった。

大変お世話になりました。どうもありがとうございました。オブリガード!


夕方、リスボン空港へ向い帰路へ着いた。
成田へ着くと、学長と大久保先生と無事の到着を喜び、空港で別れた。

12日間のハードスケジュールをこなし、ようやくその責務から解放された。が、学生たちは一日遅れて明日帰国する。気の使い用がないが、気は抜けない。

腹が減り、無性にラーメンが食べたくなり空港のレストランに入った。
しかし、これが残念ながら非常に不味かった。それでも残さず平らげ、リムジンバスに乗る。

また日常が始まる。



鏡に映った自分の顔を見ながら描いていくが、描いている手元を見ては行けない
鏡に映った自分の顔を見ながら描いていくが、描いている手元を見ては行けない



2010年10月21日[木] beyond kawaii展リスボン会場のオープニングセレモニー

イスラムの絨毯の部分だ
イスラムの絨毯の部分だ
イスラムの器
イスラムの器
ボッシュの作品に目を奪われる<br>VCチーム
ボッシュの作品に目を奪われる
VCチーム



今日はいよいよリスボン会場での展覧会のオープニングセレモニーだ。

セレモニーは夕方から始まるので、学生たちと午前中から美術館巡りをしようと以前から決めていた。一緒にポルトガルにいるのになかなか学生たちと絡める時間が持てない。そんな中、今日はみんなと行動できる数少ない日で、前からこの日を楽しみにしていた。
最初にグルベンキアン美術館、次に国立古美術館、最後にベラルド美術館と三つの美術館をはしごした。


最初の二つは古美術を扱い、最後のは現代美術を扱う美術館だ。

グルベンキアン美術館には、エジプトやイスラム、中国や日本の優れた古美術が陳列されている。イスラムの絨毯や陶器にあしらわれた図像や文様が眼を惹く。ミニアチュールにはうなされる。日本の蒔絵のコレクションも趣味がいい。特に印籠に優れたものがある。なぜかルネ・ラリックが充実している。
ここの美術館は庭が素敵で、レストランのテラスでランチをと思ったら、ランチの時間にはまだ早くて断念!

二つ目の国立古美術館のコレクションは膨大で圧巻だ。時のポルトガルの権力を垣間見るようだ。ここの観ものはなんといってもヒエロニスム・ボッシュの「聖アントニウスの誘惑」という絵画だ。VCチームの学生たちも食い入るように観ていた。これだけ観て帰ってもいいくらいだ。
ここのレストランでランチをし(なかなかおいしい)、次はベラルド美術館へ向かう。

ベラルド美術館は私設の美術館で無料で入場することができる。
とっても広大な面積の美術館だ。たいてい三本の企画展を開催しているが、どの展示もそれぞれに設営の基準のレベルが高い。立て込みやサイン等のグラフィックのクオリティの高さには舌を巻く。しかし、今回は企画自体があまり興味をそそるものではなかったのが残念だった。


若尾学長のあいさつ<br>着物が可愛いですね
若尾学長のあいさつ
着物が可愛いですね
我がVCチームの代表!岩松だぁ!<br>素敵なスピーチをありがとう!
我がVCチームの代表!岩松だぁ!
素敵なスピーチをありがとう!
リスボン会場での展示風景だ
リスボン会場での展示風景だ



夕方になってギャラリーに向かう。
展示はすべて夕べのうちにセッティングされ、今日の日を迎えるばかりになっていた。昨晩、学生たちは夜までかかって壁画を完成させていた。ご苦労さま。

セレモニーが始まった。
アニメーション学科の女子たちは和服を着てパーティに臨んでいる。
まずは、ポルトガル日本大使館の新井公使のごあいさつに始まって、若尾学長、クリエイティブ大学長、副学長と続き、次にアニメーション学科の代表のキムくんのプレゼンテーション、そして最後に我がVCチームの代表である岩松の登場である。可哀想に急に振られて壇上に立つことになったのだが、堂々としたスピーチを披露してくれた。ありがとう!

つつがなく終わって、パーティになだれ込み、会場は大いに盛り上がった。
パーティ用のつまみに巻寿司があって、これが久しぶりの和食でなんとも美味かった!


オープニングパーティは無事終了し、みんなでディナーを食べに行くことになった。
今回、通訳をしていただいた河内さんが大変物知りで面白い方だった。ぼくはようやくこの日に隣席を陣取りいろいろなお話を伺った。

学生時代からず〜っと自分の中にあったスピリチュアルなことどもが一気に噴出した。意識の片隅に追いやられたそうしたことどもが自分の手を取ってほらこっちこっちとその方向に連れて行こうとする。この旅は、イベントを成功させるのが第一目的ではなく、元々その傾向を持っていた自分にとって、再度インナートリップへ向かわせるためのものだったような気がしてならない。素晴らしい最後の晩餐となった。



アニメーション学科の南蛮屏風だ
アニメーション学科の南蛮屏風だ



2010年10月20日[水] 午前中観光の後、クリエイティブ大学のギャラリーへ

ロカ岬ではしゃぐ私
ロカ岬ではしゃぐ私
TA岩松の収集した植物<br>もうすでにドライフラワー化している
TA岩松の収集した植物
もうすでにドライフラワー化している



ロカ岬(ユーラシア大陸の西の果て)とケルース宮殿を観光する。


ロカ岬では、教え子たちと一緒だったせいか、思わずはしゃいでしまった。
岩山を上り下りして奇妙な形を見つけては写真に収めていた。
何度行っても興味深い場所だ。棲息している植物が特に面白いなぁ。
ドライフラワー化したユニークなフォルムをした植物たちにはまった!
造形の秘密が随所に潜んでいる。
何時間いても飽きなそうな場所だが、悲しいかな移動する時間が必ずやってくるのだ…(涙)。


ケルース宮殿には、素敵な調度品がたくさんあった。
ああいったスペースに住んでみたいとは微塵も思わないが、家具や調度品には惹かれるものがある。住むならモダン建築が好きだが、ああいった華美な装飾性のものがそこに入り込んでも面白いかもしれないな…などと想像しながら観て歩く。


一年の間に三回もポルトガルを訪ねているのに全く飽きない。
その都度何か発見があり魅せられている。


ケルース宮殿のシャンデリアだ
ケルース宮殿のシャンデリアだ
壁につけられた照明器具だ
壁につけられた照明器具だ
こちらもシャンデリアだ
こちらもシャンデリアだ





午後には、今回のリスボンのイベント会場であるクリエイティブ大学のギャラリーへ向い、設営のチェックだ。
アリアスピントの工藤さんからVCチームに設営を手伝って欲しいと声がかかっている。
展示壁面に空きスペースができ、そこに壁画を描いてもらえないだろうかということだ。
彼らに打診すると快く引き受けてくれた。

南蛮屏風で培ったHOW TOを壁画に見事に応用し、短時間の内に素敵な壁画を仕上げた。
あいつら鍛えられたなぁ。頼もしいなぁ。
彼らのお陰でスペースにメリハリができ素敵な展覧会場になった。

じゃぁ、おれも!…と参加しようとしたら、今回一緒に同行された学長に、「若者のピュアな感性を汚すな!」と一喝された。
シュン…(涙)。

明日、いよいよリスボン会場のオープニングだ!


狭いスペースで黙々と壁画に挑戦するVCチーム
狭いスペースで黙々と壁画に挑戦するVCチーム
自分の世界と全体のつながりを<br>同時に考えながら制作していく
自分の世界と全体のつながりを
同時に考えながら制作していく
向って左側の壁画だ
向って左側の壁画だ

向って右側の壁画が少し難航したか?
向って右側の壁画が少し難航したか?
みんなそれぞれ役割分担しながら<br>進行している
みんなそれぞれ役割分担しながら
進行している
向って左側の壁画は<br>ほいほいと仕上がっていったね
向って左側の壁画は
ほいほいと仕上がっていったね

 ↓ 院生の伊藤の描いたVCチーム全員の似顔絵





2010年10月19日[火] リスボンへバスで移動

ナザレの高台から海を臨む
ナザレの高台から海を臨む
これがイスラエルのナザレから<br>やってきたマリア像だ
これがイスラエルのナザレから
やってきたマリア像だ
マリア像の安置されている教会の内部<br>ステンドグラスの光りが美しい
マリア像の安置されている教会の内部
ステンドグラスの光りが美しい



さぁ、ポルトのイベントが終わり、バスでリスボンへ移動する。

途中、ナザレやオビドス、シントラへ寄り、リスボンへ入る。


ナザレは素敵な漁師町で海が美しい。
この町の名は、8世紀に西ゴート王ロドリゴがロマノという僧を供にシティオまでやってきたとき、彼が携えていたマリア像が、はるかイスラエルのナザレのものだったことに由来する。

ここでランチタイム。海の見えるレストランで食事をするがここのカレーがソフィストケートされていてお洒落でおいしかったぁ〜!鮟鱇の雑炊もサイコ〜!


ナザレから少し進んだところでガイドさんが「今通過しているこの道で映画『007』の撮影が行われたんですよ」という話を始められて、「へぇ〜そうなんだぁ」とうなずいていると、前方に鹿が現れ車内は少し騒然となった。ガイドさんによるとこんなことは初めてということだ。山に食料が足りなくなったのか?


続いてオビドス。ここは城壁に囲まれた小さな町で、かわいらしくて素敵な町だ。


最後にシントラの王宮を観て、ホテルへ。


チェックインの後、みんなで夕飯を食べ、解散!
今日は移動で疲れました。


ホテルに戻るとメールのチェックだ。
このホテルはネット使用料が要らないので助かる。ポルトのホテルは丸一日使用すると20ユーロ。一時間コースだと4ユーロとちとお高い(でも、宿泊代を考えると同じか、割高か?)。
「One day!」とオーダーをすると、一日コースが売り切れていたりする。そういうことが多いので観光客相手に故意にそうしているのではないかと疑ったりして、嫌な自分を垣間見て自己嫌悪に陥る。



この写真からオビドスの町並みは<br>伝わらないけど…
この写真からオビドスの町並みは
伝わらないけど…
オビドスの壁をつたう植物だ
オビドスの壁をつたう植物だ
VCチームだ!<br>漁師町のレストランとは思えない<br>洒落たお店だ
VCチームだ!
漁師町のレストランとは思えない
洒落たお店だ



2010年10月18日[月] ポルト大学でワークショップ!

参加者が集まるか心配だったが…
参加者が集まるか心配だったが…
Aチーム
Aチーム



いよいよ、我がVC(ビジュアルコミュニケーションコース)チームとポルト大学の学生との交流が始まる!

今日は、ポルト大学でワークショップを行う。
日本とポルトガルの修好150周年を記念してのイベントでもあるし、ポルトガル人がはるばる船に乗って江戸までやってきた当時をイメージし、みんなに絵師になってもらい南蛮屏風(ポルトガルではこれをBIOMBOS NAMBANと呼ぶ)を制作してもらうことにした。

ポルトガル人は、自分が当時日本人だったらどんなだったか?日本人は、ポルトガル人だったらどんなだったか?を想像して必ず自分を画面内に描き込んでもらうことにした。

四曲一双の屏風を想定し、ポルトガル人と日本人をおよそ半々に混合させA・B・C・Dの4チームに分けた。



Bチーム
Bチーム
Cチーム
Cチーム
Dチーム
Dチーム


ランチの後、初めて全部をつなげてみた
ランチの後、初めて全部をつなげてみた
全体を考えてみんなで調整することに<br><br><br><br><br>
全体を考えてみんなで調整することに




まずは南蛮屏風についてのレクチャーをし、ポルトガル人も日本人も遠い時代に思いを馳せながらも両国の若者たちは150年前のことなんかピンと来るはずもない。どちらの若者も条件は一緒だ。そんな時代があったみたいねぇ〜。で、どうしよっか?といった感じで始まった。

最初はみんなぎこちなく言葉の壁もありぎくしゃくとコミュニケーションを計りながら少しずつ少しずつ打ち解けていった。

ポルトガル人は積極的で、しゃっしゃかしゃっしゃかモチーフを描いて行く。日本人は、背景的な雰囲気作りから始めていく。ここに西洋と東洋の違いを見て取っていいのかわからないが東洋人の方が見ていてシャイかなぁと感じた。まぁ、個人差はあるが…。

お昼になって、ポルト大学の学生たちが日本人学生を学食に案内し、チームごとにランチを食した。
ほうれん草のスープがおいしかった。ぼくが一緒に食べたのはスペインから来た留学生でカップルだった。こちらに来てつき合い始めたのか一緒にポルトガルに来たのかは聞かなかった(笑)が、スペイン人の方がポルトガル人より性格が強い。人種的強さと言うべきか。


ランチのあと、初めて四つの絵をジョイントしてみた。
源氏雲で四つの画面を一応つなぎ止めてはいるが、やはりチームによって多少バラバラ感があり、みんなは隣通しの絵がうまくつながるよう調整をし出した。
しばらくそれを続けて、また各チームに戻り約4時間ほどの制作を終えた。


いつの間にやら<br>記念撮影などしている。
いつの間にやら
記念撮影などしている。

その後、ギャラリーに屏風を運び講評をした。
といっても、いい悪いなどといったクリティックをするのは意味がないから、全員に感想を聞いた。みんなに共通していたのは、「絵」が言葉の壁を越えコミュニケーションの道具として改めて凄いと感じたということだ。確かにみんな最後の方は和やかに制作が行われていた。
ひとりのポルトガルの男子学生が面白いことを言った。

「屏風は本来空間を分ける道具として使われるけれど、このワークショップでは国通しの壁を取っ払う役割をした。」

…と、素敵な発言だ。
ひとりひとりの感想を聞いているうちに、自分が学生たちとともにポルトガルという遠い異国の地でワークショップを行っていることに対して、何か熱く感慨深いものが込み上げてきた。VCの学生たちはこの数時間で相当の成長をしたと感じるし、ここまでとにかく大変だったが来てよかったとしみじみ感じた一日だった。






2010年10月17日[日] 学生たちとご対面!

サン・ベント駅に降り立った我が<br>VCチーム。ここはタイル画が有名。
サン・ベント駅に降り立った我が
VCチーム。ここはタイル画が有名。



我がVCチームの到着だ!
西洋人ならハグ、ハグ、ハグ…をするところだな。
彼らは、元気そうだ。よかった!

15:00頃からサン・ベント駅で彼らを待っていた。
なんだかこの合流まで長かったなぁ…と思う。
早くもお疲れモードでやばいね。


この陽差しの中、<br>学生たちを引きづり回した。
この陽差しの中、
学生たちを引きづり回した。
サン・フランシスコ教会の<br>カタコンベに向う途中にある像
サン・フランシスコ教会の
カタコンベに向う途中にある像
上から見下す髑髏たち
上から見下す髑髏たち

この後、彼らは石畳の坂道(上り坂)を重いスーツケースを転がしながらホテルへ向うのだ。
ちょっと可哀想だけど、みんな若いからいいやね。


ホテルへチェックインした後、みんなでサン・フランシスコ教会を見学に行くことにした。


隊長(私のこと)は、勇んで道案内をする。「どりゃ近道を!」のええ格好しぃがまずかった!
行けども行けども辿り着かず15分で着くところを1時間もかかって到着した!
途中、雰囲気のある裏道があったりして、みんなの気分をうま〜くはぐらかしたかのようだったが、そうは問屋が卸さない。みんなぶ〜ぶ〜文句を言ってる。

まぁでも、サン・フランシスコ教会に入ると、チケット売り場には「あっち!こっち!」と日本語を叫ぶ陽気なポルトガル人がいるし、カタコンベの髑髏(しゃれこうべ)や床下にばらまかれた骨や黄金に彩られた荘厳な教会の内部に触れると異国の地へ足を踏み入れた感動がひとしお来たようだ。


ドウロ川縁まで降りて、一度ホテルへ戻り、すぐに夕食に向う。
今晩は、教員たちと学生たちがポルトガルで初めて一堂に会したこともあり、全員で食事をする。

食事の後、学長を連れ出し、VCチームはドウロ川の夜景を楽しんだ。
ポルトワインをみんなで呑んだ。甘かったぁ〜。


そしてそしてポルトの夜はしんしんと更けて行くのであった。



学長を交え、ポルトの夜を堪能!
学長を交え、ポルトの夜を堪能!



2010年10月16日[土] ポルト大学の先生らと昼食会

ケーブルカーだ。<br>勾配を蛇腹式の装置で<br>調整して走行する。
ケーブルカーだ。
勾配を蛇腹式の装置で
調整して走行する。
ポルトへ三度も来ているのに<br>ドーロ川の向こう岸へ渡ったのは<br>初めてだ。
ポルトへ三度も来ているのに
ドーロ川の向こう岸へ渡ったのは
初めてだ。
ワイナリーを見学。
ワイナリーを見学。



昨晩は無事にポルト大学でのオープニングセレモニーが終わり、今日はポルト大学の学部長らに招かれて昼食会に出かける。

10:30にホテルにグラシエラ先生(美人)がお迎えに来られ、ドーロ川方面へ向う。
まずはケーブルカー乗り場まで歩き、一気にドーロ川のグランドまで降りる。
このケーブルカーが可愛い。デザインがいい。
乗り場のサインやマーク、ロゴタイプといったグラフィックも素敵だ。やっぱりヨーロッパはそういうところ凄いです。

乗り場から終点付近の高低差はかなりある。この傾斜を写真のような蛇腹式の装置で調節しながら、乗客は水平を保ったまま短時間(運賃:1ユーロ)で降りることができる。

下へ降りると、今度は散歩がてら徒歩で橋を渡り、ワイナリーまで歩いて行くことに。
数分で着くのかと思ったら、結構上り坂を歩いた。
ポルトに三回も来ていながらドーロ川のこちら側に来たのは初めてのことだった。そこは、とっても素敵なところで、気分がすーっと気持ちよくなる。こんな綺麗なところでのんびりと仕事に追われずに過ごすことができたら幸せだろうなぁと素直に思えてしまう場所だ。

ワイナリーでは、大きな酒樽やビンテージものの貯蔵庫を見たあと、ポルトワインのテイスティングをした。時間経過の違う三種類のポルトワインをテイスティングしたが、やはり熟成したものの味は素晴らしい。歳を重ねるっていうことの意味を味わう。

思わず、一本購入してしまった。

その後、山を下り、レストランへ向い、薦められたイベリコブタの料理を食し解散した。


帰りもお店を見ながらホテルまで歩いた。
そろそろ土産のことも考えなければならんなぁ…とぶらぶらしていると、江戸時代にポルトガルから日本へ伝来したシャボン(石鹸)を売っている店を見つけた。何種類もあり、そのどれもがパッケージデザインが素敵だ。
ホテルに向い始めると、世界一綺麗だという噂の本屋に遭遇し店内に入る。ロマネスクというよりはアールヌーボー様式に近いとても趣のある内装だ。

店を出たら隣の店のウインドウに猿がいた!


明日は学生がポルトにやってくる!


世界一綺麗という本屋さんの2階。
世界一綺麗という本屋さんの2階。
こちらが1階だ。
こちらが1階だ。
そして、猿に遭遇!
そして、猿に遭遇!



2010年10月15日[金] ついにポルト大学でのbeyond kawaii展オープニングだ!



早朝というか深夜に目覚めると外は濃霧に包まれている。
もう一寝入り。



10時頃、夕べの仕事の続きをチェックしにポルト大学のギャラリーへ顔を出す。
服部君が慌てている…。

朝、ポルト大学の方から展示に対してNGを出されたらしい。
何でも、壁から絵が浮いているからくっつけるように指示を受けたと言う。

昨日、額を吊るすのに渡された道具がテグスだったと書いたが、これを使えば当然額が壁を背にお辞儀をしたようになる。しかもテグスということでまっすぐに一列に並べることがむずかしくなり、展示のプランも変更せざるを得ず、最初の予定が大幅に狂っていくことで最初からない時間がますますなくなってしまう。果たして16:30からのオープニングに間に合うのか?…と言いながらもプロフェッショナルとしては間に合わせなくてはならないのだからきつい。

あと6時間もすればオープニングセレモニーが始まる!
アリアスピントのお二人はやや眉間に皺を寄せながらもなんとかしますよ!と頼もしい。




ギャラリーにて若尾学長のあいさつ
ギャラリーにて若尾学長のあいさつ

16:30 オープニングセレモニーが始まった。

ぞくぞくと人は集まり、活況を呈する。
会場の外のテラスには日本から持参した大分産の日本酒とポルトワインが振る舞われ、来場者たちみんなが楽しそうにしている。

ほろ酔い気分のまま、会場を移し、学長の講演とアニメーション学科のプレゼンテーションが始まった。アニメーションとマンガはほんとうにどこでも受ける。
会場は賑わい、大成功に終わった。

ここまで、いろいろあったなぁ…と感慨に更けたいところだが、明日は我が学生たちがポルトに到着するし、18日はその学生たちとポルト大学の学生たちとのワークショップがあるしで、ここで気は抜けない。

まぁ、でもやっとここまで来ましたぁ!



オープニングセレモニーの終了後、日本大使館のお招きで夕食に。
連れて行っていただいたレストランがお洒落でした。

ポルトガルのヌーベル・キュイジーヌといった感じで、内装はもちろん、味も洗練され、食器のセレクトや盛りつけ方の妙など、どれをとっても申し分ない。私の写真はいまいちですけどね…。

ごちそうさまでした。


これは、山羊の肉だったっけかな?
これは、山羊の肉だったっけかな?
これは、ポルトガルならではの料理だ。<br>そうです!天ぷらです。<br>この左の椎茸のやつ、美味かったぁ〜!
これは、ポルトガルならではの料理だ。
そうです!天ぷらです。
この左の椎茸のやつ、美味かったぁ〜!


2010年10月14日[木] ポルト大学のギャラリーにて展覧会の設営

荷物を開封し、展示の準備だ。
荷物を開封し、展示の準備だ。
ちょっと手を休めテラスへ行って<br>景色に癒される。
ちょっと手を休めテラスへ行って
景色に癒される。
19:00を過ぎた頃、ようやく<br>壁に設置することができた…。
19:00を過ぎた頃、ようやく
壁に設置することができた…。



朝、昨日のミーティングの詳細を関係者にメールする。

その後、日本からのメールに対応し、あっという間に時間が過ぎていく。
片づけなければならないことが何もできずに、事務処理で終わってしまった。
なんとも!



昨日到着しているはずだった荷物は言われた時間には届かないと踏んで、15:00頃に大学へ顔を出すと「ちょっと前に届いた」と服部君が困惑顔で伝えてくれた。案の定だ。

明日が展覧会のオープニングだ。さぁ、猛スピードで設営をしなければならない。
いざ、開始!というところで、また問題が…。

釘を打ってはいけないという!

ワイヤーを使ってくれと言うが、壁のどこを見回してもワイヤーを引っ掛ける仕様になっておらず三人で途方に暮れる。
しばらくしてワイヤーだと言って渡されたのが、なんと、テグスだ!さらに、それを引っ掛けるところは?と聞くと、別のスタッフを呼んで、これから吊るための金具を作らせるという。なんとも段取りの悪い!
展示プランも変更せざるを得ない。これでますます、設営に時間がかかることが決定した。やれやれ…。
そんな悪条件の中二人は黙々と作業を進めてくれる。
そうこうしている内に、ようやく基準となる作品を壁に掛けることができた。これでやっと全体の仕上がり状況を想像し、作業の流れを確認することができた。ここまで、長かったぁ!


20:00過ぎ、やや目処が立ち自分は別の仕事もありホテルへ戻った。彼らは残って作業を続行してくれることに。頼もしい。



帰りに一人で夕食を食べる。
ホテルの脇にあるグリルの美味いというレストランへ。

リゾットが食べたいのだがこの店にはなく、目玉焼きが載っかったステーキを食べた。
とにかく量が多いのでふうふう言いながら腹をさすりさすり食す。

と言いながら、身体が疲れているのか甘いものが欲しくなり、デザートメニューを見せてもらいアイスクリームのケーキを注文。コーヒー(こちらのコーヒーは普通、エスプレッソだ)とともに平らげる。

普段、こんな食事をしないし、もう10代20代の若者じゃないから、身体のことをちょっと心配しながら食べている。なんだかなぁ。

さあ、泣いても笑っても明日16:30からいよいよ展覧会のオープニングだ!
明日もまた設営の続きを行わなければならない。
こちらでもなんだかんだと忙しい。ふぅ〜!


このフライドポテトだとか<br>目玉焼きの下にステーキが<br>ど〜んと鎮座しておられる。
このフライドポテトだとか
目玉焼きの下にステーキが
ど〜んと鎮座しておられる。
甘〜いぞ〜!
甘〜いぞ〜!


2010年10月13日[水] リスボンからポルトへ



通訳の藤岡さんと落ち合い、アリアスピントのお二人と四人で9:30発のサンタポローニャ駅からポルトへ向かう列車に乗る。


途中まで霧の中を行く。霧はこんなにもロマンティシズムを誘うものなのかと感銘。
長谷川等伯の松林図とは違うグレーイッシュな世界にしばし見惚れる。等伯は紙の白を基本にし、描かないことで靄を描くというマイナスの描画法だが、この窓外の景観は淡いグレーの絵の具をいくつも重ねた足していくことで描かれる世界観だと感じた。西洋と東洋の違いがこんなところで展開されている…と感じながらこの眼前に広がる風景を前にすると、今の自分は東洋的な描法よりも西洋的な描法を用いそうだ。それは、自分が西洋のまっただ中にいるせいだろうか。


カンパーニャへ着くとホテルにチェックインし、ランチを済ませて、ポルト大学へ打ち合わせに行く。
展示会場の変更やワークショップ用の教室の確認など、その場で臨機応変に決めなくてはならないことがたくさんあって大変だった。

今日展示すべき作品たちを積んだ荷物は届いておらず、確認をしたところ、早くても明日のお昼休みが終わった頃の到着だという返事があった。全体にいい加減というかのんびりしている。
結局、ミーティングだけで帰路につくことになってしまった。通訳の方も別件がありリスボンへ帰られ、疲れていたのでそのままアリアスピントの二人とも別れホテルに戻った。

今日決まったことをもう一度チェックしメールの準備をし、早々に寝てしまった。




2010年10月12日[火] ポルトガルへ

パリ シャルル・ドゴール空港
パリ シャルル・ドゴール空港



いよいよポルトガルへ向かう日がやってきた。
今回は一人でリスボンへ入る。

品川プリンスホテル7:30発のリムジンバスに朝マックとともに乗り込み、成田空港へ向かう。
乗車中、爆睡だ。

ポルトガルのイベントを果たそうと8・9月と忙殺された。
研究室にも何度泊まったことか。
それにしても働いたなぁ〜。

今、道中一番心配なのは向こうでノートパソコンのネット環境がうまく行くかどうかだ。
これがつながらないことには片づかなかった仕事をこなせなくなってしまう。



無事にエールフランスに乗る。

ネットからチェックインしたので空港カウンターでの手続きが簡単だった。
座席指定のところで足下の広い座席(追加料金がかかる)がいくつかあることを知って、パリまでの12時間を少しでも快適に過ごそうと前席一人分がぽっかりと空いた座席をチョイスした。

指定した席につくとすぐに爆睡だった。

自分は眠りを取り戻すため食事を摂る以外はただひたすら眠る。7,700円で購入したやや広めの空間でもゆっくりと休養むことはできそうにないが、この二ヶ月弱のイレギュラーな睡眠の穴埋めをしようと身体は眠ることを要求する。

その間、ゆったりと足を伸ばし快適に過ごすはずだったが、隣のオランダ(?)人のとっても膨よかなおばちゃんを訪ねる仲間のおばちゃんたち(みんな同じ体型だ!)が「金を出して買ったオレさまの空間(笑)」に割り込んで来ては大きな声で会話をする。そのとき必ず僕の足を踏むし、その大きな声で目が覚める。やれやれ。ゆっくり眠らせてくれぇ〜!

足を蹴られ目覚めたときに辺りを見回すと、人々はみなブロイラーチキンになっていた。指定された極小空間の中で時間を持て余し、余計なことを考えさせないようにするために与えられた映画やゲームといった娯楽を貪ることだけを許されたブロイラーチキンのように見えた。誰もが思考なんてしていない。してはいけない。
それらの娯楽に僕は見向きもせずただひたすら眠ることを選択した。
捻れた偏狭な空間の中で、用意された享楽をひとつも享受しないという贅沢に耽溺する自分に優越感を覚える傲慢で恥ずかしい人に成り下がりながら…。

そんなこんなで結局あまりゆっくり眠れず、残り5時間を切った頃か、むりやり覚醒し、知人に紹介され用意してきた本(ハズラト・イナーヤト・ハーン著「音の神秘」/平河出版社)を読み始めた。
これが凄い!メモを取りながら読み進める。

僕の欲しいものは娯楽ではない。表そうとするものは娯楽をサポートするものではない。刺激ではなく、感動を喚起するものでありたい。それは神とともにあること。その表現だ。


遅すぎる夕食を済ませると僕はひとまず人間に戻ることにし、映画を楽しむことにした。が、しかしいささか遅すぎた。あと10分で完結!というところで娯楽は一方的に遮断されてしまい、飛行機はトランジットのためシャルル・ドゴール空港へ到着した。


乗り換えまでの数時間の待ち時間は、同僚の用意してくれた動画(アニメーション)で凌いだ。
「もやしもん」を貪っている内にあっという間に出発時間が来た。
パリを出発し、旅客機はフランス、スペイン、ポルトガルの上空を飛ぶ。眼下には素敵な夜景が広がっている。リスボンへは30分遅れで到着。さて、別の便で来るこのイベントを手伝ってくれているアリアスピントのお二人と合流だ。向こうもそろそろ着いている時間だ。

が、甘かった。ブリティッシュエアーラインは一持間以上遅れ、彼らの荷物が税関で足止めをくらい、合流できたのが自分の到着から二時間半後だった。いやぁ、待ちました。ハチ公のように従順に待っていた。あぁそうだった!「もやしもん」の続きを見ていればよかったんだぁ。

眠くなってきたところで、なんとか合流。日本大使館のドライバーが迎えに来てくれ、無事にホテルに到着した。いやはやポルトガルは遠いねぇ。




2010年10月03日[日] お知らせ



●10月9日[土]15:00〜17:00 トークショーに参加。
イラストレーターの熊井 正氏の個展の企画イベントで、都築 潤氏との3人で話をする。
どんな話になるのか?ぜひ、足をお運びください。

 → ヨコハマ・アパートメント・ムーンハウス


●福島現代美術ビエンナーレ2010(10月16日[土]〜24日[日])に出品。
今回は「花」がテーマということで声がかかった。
お近くの方、ご興味を持たれた方、ぜひどうぞ!

 → 福島現代美術ビエンナーレ2010


●10月12日[火]〜23日[土]の期間、大学の所用でポルトガルへ出張。
またですかぁ?という声が聞こえてきそうですが、ついに本番のイベントを開催する。
「beyond kawaii」のテーマの基、東京工芸大学の学生、卒業生たちの作品を集め
ポルト大学(ポルト)とクリエイティブ大学(リスボン)のギャラリーで展覧会を催す。
写真学科、デザイン学科ビジュアルコミュニケーションコース、アニメーション学科、
マンガ学科の選抜チームが遠征する。
展示のみならず、今回は一緒に渡航する学生とともにワークショップも行う。
前回に引き続き、向こうからdiaryを更新するつもりだ。お楽しみに!


朝日カルチャーセンターの講座案内の表紙イラストレーション

朝日カルチャーセンターの講座案内の表紙イラストレーション


2010年10月02日[土] 納品

納品した絵とは<br>何の関係もありません…。
納品した絵とは
何の関係もありません…。



知人から頼まれていた絵をようやく完成。
久し振りにやや大きめの絵を仕上げた。

初めは紙に描こうと思っていたが、キャンバスを選択した。
絵具の乗りに気を使ったがなかなか思うように運ばない。
部分的にいくらか調子を掴み始めたものの時間が来て額装に回した。
それでもいくつかの学習をし、次の機会に生かそうと思う。

F40という微妙な大きさで、自分の車に載るか不安だったのでバンを借りて行った。
まずは額屋さんへ向う。作品の納まり具合を確認しピックアップ。
綺麗な額装に仕上がっていて大満足。額装に助けられていい感じになっている。

何に生き甲斐を感じるかって聞かれたら、自分の絵を額装することと答えるだろう。

無事に引き取り、知人のご自宅に向う。
色彩の方向性を伺っていたので最終的に仕上げた色が気に入っていただけるかどうかが最大の心配事だったが大変気に入ってくださって一安心。

設置もと考えてお邪魔したが少々高い位置に掛けるため、敢えなく断念。もう一度アシスタントを連れて出直しだ。

最近、絵を描くことに向うことがなかなかできなくて焦っていたが、少し調子を取り戻せそうだ。結局すべては自分が描けなくしているだけなのだ。